星乱拳客伝 外伝 三つ目 廻国編

星乱拳客伝 外伝 三つ目 廻国編

三の巻


終章


車には蘭丸、梅田、双葉の3人が乗っていた。
結局、事務所へは戻らず、蘭丸の安アパートまで荷物を回収に行ったところである。

「そっちの準備はできてるんだよね?」

蘭丸が自分の荷物を。。。といっても大きめのバッグ一つだったが。。。車に投げ入れた時、梅田と双葉に聞いた。
どうやら、さっき倉庫へ向かう前に準備ば済ませてあったらしく、双葉が大丈夫よと返したのは十数分前。
車は港に近づいていた。
『何者か』が現れるかと奇妙な緊張感が漂っていたが何も起こることなく3人は港に辿りつくことができた。

「よっ、遅かったな」

既に港にいたハンスが荷物を下ろしながら『にっ』と笑った。
そこには見覚えのある濃い赤色をした中型外洋クルーザーが停泊している。

「サルバドール級クルーザー『グリソム』」
「こいつが新しい我が家って訳だな」

荷物を手に車のロックをしたハンスはそう言うと、新しい我が家の中へ入っていった。
蘭丸はその様子を眼で追う。
と、ハッチの少し上にある小さな窓に貼りついた顔が懸命に何かを伝えようとしていた。

(ん?。。。は・や・く・お・い・で・よ・!)
(緊張感ねぇ〜な)

テンションの上がったアフロは無敵であった。





(c)General Works