星乱拳客伝 外伝 三つ目 廻国編
三の巻
第8章
「いねぇな。。。いっぱい食わされたか?」
蘭丸は周囲を見まわすが誰もいない。
「そうですね。。。」
と気のない返事をする小桜は携帯端末を叩いていた。
「F59、この倉庫は貸し倉庫のようですね」
「このコロニーでは知られた業者で、特に問題ないでしょう」
携帯端末をポケットに落とし入れると、小桜は通用口のドアノブを軽く回し引いた。
「。。。ですよね」
当然のように閉まっている。
と、いつの間にか小桜の手には細長い鉄片が握られていた。
「オイオイ、だいじょうぶなのか?」
蘭丸の問いに、ええ、まぁね、と曖昧な返答の小桜。
カチャカチャと十数秒。
「うっし」
とドアノブを引くと見事開いた。
「監視カメラの映像を確認してみましょう」
小桜が倉庫に脚を踏み入れるのと、黄色いライトをつけた車が2ブロック先の曲がり角を曲がってくるのは同時であった。
「警備員が来たようだぞ」
蘭丸の言葉に一瞬、躊躇した小桜は開けたドアをそのままに、見られてはいけないツールを隠した。
(茜は?)
急に静かになったアフロは車の後部座席で眠っていた。
(なんだかなぁ)
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