星乱拳客伝 外伝 三つ目 廻国編
三の巻
第6章
ビルドアームの操縦者はスギヤマという男であった。
蘭丸達を拉致しようとしたのはヒョウ局『円山』に恨みがあった訳ではなく派遣の仕事を受けただけのようである。
派遣を仕切っていたのは、怪しい仕事でも受けるという有名な組織であった。
梅田曰く、厄介な会社らしい。
それはそれとして。。。
「この中の誰でもいいから連れて来いっていう依頼だったんだ」
昼飯どころの話ではなくなった一同は事務所に戻ってスギヤマを尋問していた。
「局長とザクと。。。双葉さん?」
遠距離から撮影したのだろう粗い画像ではあったが人物を特定するには十分な写真を3枚取り出した。
「クライアントは分らない、時間までに指定の場所に連れて来いってだけの依頼で。。。」
とスギヤマがそこまで言った時、
「何時までに、どこへ連れて来いって言われた?」
と、蘭丸。
皆腹が減ってるから虫の居所が悪い。
。。。少なくとも蘭丸はそうであった。
「13:30〜14:00 港のF59倉庫」
スギヤマの答えに事務所の平凡な掛時計に一同の視線が集中した。
視線に力があったなら時計は砕け散っていたに違いない。
「13:47」
バン!
と事務所のドアを開いて飛び込んできたのは、何時の間にか姿を消していたザクであった。
「車、持ってきました」
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