星乱拳客伝 外伝 三つ目 廻国編
三の巻
第4章
(ちっ、鈴音は倉庫に置いてきちまった。。。)
威圧するビルドアームを見上げながら蘭丸は舌打ちした。
「ビルドアームで待ち伏せとは穏やかじゃありませんね」
梅田がビルドアームを見上げながら言う。
局長としての自覚はあるらしい。
「とりあえず、ビルドアームを降りなさい。話はそれからです」
教え子を諭す教師のように梅田。
「その必要はナイ」
「オレの仕事は、ヒョウ局『円山』の人間にご同行いただくだけだからな」
「おっと、歩ヒョウは止めてくれよ、手荒な真似はしたくねぇんだ」
緊急事態の対応はお手のもの、それぞれがそれぞれの対応方法を思いついて。。。いや、身体が先に反応していた。
「アタシがヤっちゃうよ」
赤いアフロが言った時には、事務所の窓ガラスがガシャンと砕けていた。
こめかみを押さえる梅田局長をハンスが引っ張ってゆく。
小桜はどこへ行ったのか、既に姿が見えなくなっていた。
双葉は状況を確かめるように周囲を見まわしている。
「いくよゴリポン!」
砕けたガラスの破片と共に落ちてきたのは赤い物体であった。
表面が『もふもふ』した赤いモノ。。。
(そう言えば、事務所のソファーの横に置いてあったな)
表面の『もふもふ』から派手なソファーにも見えなくもないそれは櫃(ヒツ)であった。
からからからから
と、膨れ上がる赤い『モフモフ』は長い両腕となっていた。
背中が地面と平行になる程に前傾したその背中にアフロが吸い込まれると、
かからから
と背中の搭乗口が閉じる。
そして、むくりと起き上がったその姿は。。。威風堂々たる『ゴリラ』のように見えた。
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