星乱拳客伝 外伝 三つ目 廻国編

星乱拳客伝 外伝 三つ目 廻国編

三の巻


第2章


ヒョウ局『円山(エンザン)』に集まった人々。
一同の視線は冴えないサラリーマン風の男に集中していた。
ジェームス梅田。
胡散臭い風体の胡散臭い名の男であった。

「『仕事』の内容というのは、ある『文書』を探すというモノだ」
「『文書』の名前は『28日の記録』と言われているもので。。。詳細は双葉くんからお願いする」

背の高い東洋系の風貌のメガネの女性が一瞬、『私ですか?』という表情になったが、局長のあとを引き継ぎ話し出した。

「『28日の記録』という『古文書』は別名『始めの記録』とも呼ばれている『HT』の精製方を記したものです」

『HT』とは『歩ヒョウ』の素材であり、ある特定の人間(ヒョウ師)の意思によって変異する金属である。
24XX年、鉱物学者であった『ヒョウ師』の始祖である上泉ブホウ氏によって発見されたのが『HT』である。

「無論この文献には『HT』という鉱物はでてきません。『28日の記録』で精製されたものは『大きさの変る使えない金属』であったと言われています」

確かに言い方を変えれば『HT』は、そのように言えるかもしれない。

「この文献は歴史的資料、幻の『HT』精製法として噂されていましたが。。。」

双葉は茶封筒から取り出した資料の一枚を手にすると、

「3ヶ月前、このような資料が発見されたのです」

何かのコピーと思しき文面であった。

「西暦800年代の学者の研究資料にこうあります。『我が先祖が大きさの変る面白い金属を精製した記録を発見したのであるが、その地図に記された精製すべき金属がみあたらない。まことに残念ではあるがあきらめるとこにしよう。精製法はこのファイルに添付しておく。タイトルは『28日の記録』である』と」
「しかし、添付されている筈の『28日の記録』は紛失してしまっていて。。。」

双葉の言葉を引き継ぐように梅田が、

「今回の依頼は、この失われた『28日の記録』を探し出すというものだ」

そう言った。



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