星乱拳客伝 外伝 三つ目 廻国編

星乱拳客伝 外伝 三つ目 廻国編

三の巻


第1章


その女との再会は、以外に早かった。
翌日。
ヒョウ局『円山(エンザン)』事務所。
さして大きくもない事務所には6人の人間がいた。
局長のジェームス梅田。
局員の小桜。
ヒョウ師の八雲茜と蘭丸。
メカニックのハンスまでいた。
ここにいないのは事務のお姉さんくらいのものだろう。
そして。。。

「もう知ってる者もいるかと思うが、朽葉さんのところの双葉さんだ」

局長の紹介に蘭丸は、

(あぁ、あの時の。。。メガネなんかしてるから分らなかった)

人の顔を覚えるのは苦手な蘭丸は勝手な理屈をつけて自分を納得させつつ局長の言葉を待つ。
12時に集合の連絡の発信者は局長であった。

「今日集まってもらったのは、他でもない」
「大きな『仕事』の依頼があったんだが、正直なところ悩んでいる。。。」
「詳細はまだ開かせないが、期間は無期限。とあるミッションをクリアするまで継続という意味の無期限だ」
「それと、ここが重要なんだが、事と次第によっては。。。」

ここで局長は一旦言葉を切った。
数秒の沈黙。

「。。。『財団』を相手にしなきゃいけない可能性もある」

『財団』とはもちろんルッカ財団である。
コロニー建設、宇宙船の建造から生活用品までを扱う超巨大複合企業。

「今、話せるのはここまでだ。。。いや、今の話しも聞かなかった事にしておいたほうがいいかもしれない」

局長が慎重に言葉を選んでいると、

「で、要はなんスか?」

小桜がいつものようにお気軽な口調で聞いた。

「その仕事、受けるか受けないかってんなら受けますよ。おもしろそうだしね」

皆さんどうします?と小桜が一同に視線を向けると、

「アタシも受けるよ」

と言うのは、机に座って足をブラブラさせている茜である。

「オレも構わないよ」

というのはメカニックのハンス。

「カカァも逝っちまったし、バカ息子も手が離れたしな」

自分に視線が集まるのが苦手なのだろう、頭を掻きながら言うハンス。
と、次は蘭丸の番であった。

「ランさん、どする?」

屈託のない瞳で茜が言うと、

「こんな雰囲気ですけど、強制って訳じゃないんで」

小桜が肩をすくめながら言う。

「知り合いの局を紹介することもできますしね」

梅田局長が言葉を引き継いだ。

(これが厄介な『仕事』ってやつか。。。)

「っと。。。オレも受けます」
「廻国中だし、これも何かの縁ってやつでしょう」

皆の同意を得て視線は再び梅田局長へ戻った。

「では『仕事』の内容を説明しよう」

梅田局長は机の上の茶封筒の封を解いた。



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