星乱拳客伝 外伝 三つ目 廻国編
二の巻
終章
双葉との試合の二日後。
朽葉邸の裏庭。
立ちあがった鈴音の右腕は修理されていた。
「それから、これもお持ちください」
朽葉氏が柔らかな笑みで櫃(ヒツ)状態の鈴音と同じくらいの大きさの箱を指し示した。
材質は『歩ヒョウ』と同じ『HT』のようである。
「これは?」
蘭丸の問いに、朽葉氏の笑みが更に深くなる。
「オプションといったところでしょうか。使い方はおまかせします」
っと、不意に朽葉氏は蘭丸から視線を外し、
「そんなところで何をしている」
蘭丸の方を向きながら後ろにいる『誰か』に話しかけた。
「はい」
襖(ふすま)を開けて現れたのは双葉であった。
「先日は、大変失礼いたしました」
試合をした後、蘭丸に噛み付いた女性とは思えない。。。いや、そういうものかもしれないが。。。態度であった。
いえいえ、構いませんよと笑い飛ばす蘭丸は相変わらずである。
「逆に、こちらがお礼をしたいくらいです」
鈴音との距離が少し近くなったような気がした蘭丸であった。
完
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