星乱拳客伝 外伝 三つ目 廻国編
二の巻
第7章
(デカイ!)
鈴音の前に立ちあがったのは、大型の歩ヒョウであった。
大人と子供。。。とまでは行かないが、双葉の歩ヒョウのほうが頭一つ大きかった。
ディアブロ
双葉の藤色の歩ヒョウの名は悪魔という意味であった。
「では」
足元で双葉が言うと、巨大な『歩ヒョウ』=『ディアブロ』の腹部に納まった。
続いて蘭丸も鈴音の腹部に納まる。
ディアブロが右足を踏み出そうとしてから、左足に変更した。
『鈴音』の右腕の事に気付いたからであろう。
推手は通常、前に出した足と同じ方の手を使って行うのである。
『鈴音』も左足を前へ出すと、左腕同士がゆっくりと近づく。
左手の甲と甲。
チッチカッ
『ディアブロ』の巨体が煌く。
『歩ヒョウ』同士の通信手段である光信である。
その意味は、
(始めます)
奇妙な緊張感を孕みつつ、試合は始まった。
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