星乱拳客伝 外伝 三つ目 廻国編
二の巻
第5章
「お待ちください」
「差し出がましいようですが、あなたが鈴音に相応しいヒョウ師かどうか試させていただきます」
頭を下げた蘭丸の背中を打ったのは、朽葉氏のところへ案内してくれた女性のものであった。
「双葉(フタバ)!」
朽葉氏のキツイ口調にひるむことなく双葉と呼ばれた女性は続けた。
「何度も何度も無茶な使い方で鈴音が壊されて。。。そのようなヒョウ師に鈴音を預ける訳には参りません!」
双葉のまっすぐな視線は蘭丸を貫いていた。
「鈴音はこの双葉が始めて手がけた歩ヒョウ。。。いや。。。弟子の言う事は無視してくだ。。。」
朽葉氏がそこまで言った時、
「そうですね、私もどこかしっくりしない部分があるので。。。その申し出、受けさせていただけますか?」
蘭丸は一度双葉と視線を合わせてから朽葉氏と向かい合った。
「いいのですか?双葉はもともとヒョウ師、かなり使いますよ?」
朽葉氏の瞳の中には弟子への信頼が見て取れた。
「はい。かまいません、是非お願いします」
蘭丸は再び深々と頭を下げた。
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