星乱拳客伝 外伝 三つ目 廻国編
二の巻
第3章
そこは、いわゆる縁側であった。
「直接こちらへご案内するようにと言われておりまして、申し訳ございません」
2、3分ほど歩いたところで、先導している女性が申し訳なさそうに言った。
裏口から縁側という道順に対しての詫びであったろうか。
「いや、気にしないでください」
蘭丸も恐縮しながら返すと、縁側の向こうの襖(ふすま)が静かに開いた。
「いらっしゃい」
柔らかな笑みを浮かべた好々爺。
第一印象はそういうモノだった。
「朽葉です」
縁側から雪駄で庭に下りた朽葉氏はそう言って右手を差し出した。
「坂崎です」
そう言って握手をする蘭丸。
分厚く暖かい手であった。
「立ち話もなんですから。。。どうぞこちらへ」
座敷へ移動するとすぐお茶が出てきた。
案内してくれたあの女性である。
女性が一礼して座敷を出て行くと、再び朽葉氏と二人になった。
「さて、先にどちらから片付けましょうか?」
(c)General Works