星乱拳客伝 外伝 三つ目 廻国編
二の巻
第2章
あたしも行く!と暴れるアフロを振りきりシャトルに飛び乗った蘭丸。
朽葉氏のいるコロニー『タカオ』に到着した。
港から車で1時間ほど、うっそうとした竹林の中に目的地はあった。
『朽葉』
そう書かれた表札の家は古い日本家屋風の屋敷だった。
車を降り、インターホンを探していると、
「サカザキさんですか?」
っと表札から女の声がした。
留守電になっていたものの『港』から連絡をいれておいたせいだろう。
「あっ はいそうです。朽葉さんいらっしゃいますか?」
とりあえず、声の方へ話しかけると、
「はい。お待ちしておりました」
「そこから左手に少しいくと駐車スペースがございますので、お車はそちらにお願いします」
そう話を締めくくって「ぷつっ」とマイクをOFFにした音が小さく聞こえた。
(駐車スペースね。。。あれだな)
少し後ろに下がって左の方をよくみると確かに車が2台ほど止められる空間があった。
車に乗り込み駐車スペースの前へ進めると、背の高い女性がいた。
クセのない黒髪は肩のあたりで揃えられ、白い綿シャツの上で綺麗なラインを描いている。
女性が軽く会釈するのに併せて蘭丸も頭を下げ、車を駐車スペースへ進める。
車を止め、『お届けモノ』の分厚い封筒を手に車の後部ドアを跳ね上げ『鈴音』の『櫃』を取り出した蘭丸。
一連の動作を静かに見つめながら準備がととのったところで、ご案内致しますと女性が朽葉邸の通用口であろう小さ目のドアへ向かう。
(さて、どんな「おじいちゃん」だ?)
頭の中で不適に笑う藤十郎の顔を振り払う蘭丸であった。
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