星乱拳客伝 外伝 三つ目 廻国編

星乱拳客伝 外伝 三つ目 廻国編

一の巻


第9章


再び閉じられたコクピットハッチ。
人質を取られたこの状況で。。。どうする蘭丸?

(右ね、ありがとさん)
(さて、こいつがどこまで使えるか分からねぇってのが気にかかるが。。。)
(小桜もいるこったし。。。いっちょやってみるか!)

ビルドアームとの距離15メートル程度。
犯人の脅しに歩を止めた白い歩ヒョウは、不意に膝を折った。
スッと上半身が沈み込む。。。

しゃんッ

しなやかな跳躍は地面と平行に白き巨人を急加速させる。

しゃんッ

スローモーションのようなビルドアームの一撃を難なくかわす白き巨人は風であった。

しゃんッ

右腕を振り下ろした状態のビルドアーム、その背後に立つは白き巨人。

しゃんッ
  タンッ

「なかなかいい造りのビルドアームだが、コックピットの開閉機構が複雑で側面が軟そうだったんでな。。。」

背後に廻った白き巨人の左腕はビルドアームの胸部左側を貫いていた。
歩ヒョウの特性を利用し特定の部位を変異させる技、楔(クサビ)である。

「ご。。。めんなひゃい。。。」

ビルドアームのスピーカーから聞こえてくるのは、なさけない犯人の声。

(スピード・パワー・瞬発力・それに動きの正確さ。。。この歩ヒョウ。。。使える)

蘭丸は左の人差し指と薬指で挟み込んだ犯人の頭をクリクリしながら、そんなことを思っていた。



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