星乱拳客伝 外伝 三つ目 廻国編

星乱拳客伝 外伝 三つ目 廻国編

一の巻


第8章


眼前の巨人を見上げる小桜

「坂崎さあぁぁぁぁん」
「それ壊れてますよおぉぉぉぉぉぉぉ」

足元で絶叫する小桜に苦笑する蘭丸は腹部の纏いを開いた。

「ああ、分かってる。。。とりあえず、このままやってみるよ」

それだけ言うと腹部を纏いなおした。

「わかりましたぁぁぁ」
「ヤバそうだったら無理しないでくださいねぇぇぇぇぇ」

小桜の奇妙な声援を背中に受けながら、目標へ歩を進める蘭丸。

「しかし、右腕はほっとくとして、こんなに感じが違うものなのか。。。」

『レン』との操作感の違いに戸惑う蘭丸。
(ジャージとスーツくらい違うぞ)

相変わらず右腕はぶらぶらさせながらビルドアームへ近づく。。。と、

シャン
  シャン

一歩踏み出すたびに鈴の音のようなものが響いた。

(そういや、櫃の表面に『鈴』の柄があったな)

蘭丸の白い歩ヒョウに気付いたのであろうビルドアーム。

「てめぇ 近づくんじゃねぇ」

外部スピーカーから頭の悪そうな声が響く。

「人質がどうなってもいいのかぁアァ?」

最後のアァの響きが消えた頃、胸部にあるコクピットのハッチが開く。
向かって左が人質であろう販売店の制服姿の女性が怯えている。
右の席の男はシートベルトを外し身を乗り出すようにしてナイフを女性の方へ向ける。

「わかったかコノ野郎!」

それだけ言うと、また自分の席に戻りコクピットのハッチを閉めた。



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