星乱拳客伝 外伝 三つ目 廻国編

星乱拳客伝 外伝 三つ目 廻国編

一の巻


第7章


ワンクラス上のパワー。
ワンクラス上の操作性。
ワンクラス上の居住性。
中堅どころの渋い役者が渋い笑みを浮かべて渋く語り掛けるCMでお馴染みのビルドアームが小桜と蘭丸の乗った車の前にいた。

「こいつか。。。」

(展示会でみたやつだな。。。なかなかいい造りしてた。。。)

「これから仕事にとりかかりますけど、手伝ってもらえます?」

「仕事って。。。どうするつもりだ?」

「外部から強制停止させるんですけど」

後部座席のツールボックスを指差す小桜

「オモチャはイロイロありますから、いかようにも」

雑多な工具・計測器・手作りであろう装置がそこにはあった。
ハンスの熊のような顔が一瞬、脳裏をよぎる。

「そうかい。。。挨拶代わりにオレに任せちゃくれないかい?」

ほぉ〜という顔の小桜。

「もちろん、かまいませんよ。局長もいいですよね?」

かまわないよ。おねがいします、とナビから梅田の声。

局長の存在を忘れていた蘭丸は苦笑しながら急停止した車から飛び出した。
車の後部ハッチを跳ね上げると、巨大な人型を思った。

タタンタタタタタタタ・・・

年代モノのタイプライターでも打っているかのような音。
そこに出現したのは乳白色の巨人。
しかし。。。

(えらく華奢じゃねぇか?)

三つ目の『歩ヒョウ』=『レン』に比べて細身の『歩ヒョウ』。
『レン』が仁王像だとすると、眼前の乳白色の『歩ヒョウ』は菩薩像といったところだろうか。
するすると腹部に納まり、腹部の纏いを閉じる蘭丸。

「ん。。。なんだこりゃ?」

車を降りて見上げる小桜

「あ。。。壊れてる」

乳白色の歩ヒョウの右腕。。。肘から先。。。が奇妙な角度でぶら下がっていた。



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