星乱拳客伝 外伝 三つ目 廻国編

星乱拳客伝 外伝 三つ目 廻国編

一の巻


第6章


車の中。
ステアリングを握っているのは小桜。

「いっつもこうなんですよ」

ダッシュボードに携帯を差し込みナビの画面に何度か触れる。

「案内を開始します。実際の交通・・・・」

「へぃへぃ」

ナビの画面をタタンと叩いて案内音声を黙らせる。

「局長、坂崎さんと現場に向かってます。。。聞こえてます?」

器用に裏道を抜けながら話す小桜

「ああ、聞こえてるよ」

携帯で繋がっているのであろう局長の声がナビのスピーカーから聞こえる

「何か状況変りました?」

「いや、最新の情報は常に送ってあるから、目視できたら確保してくれ」

「了解しました」
「試乗のビルドアームで暴れてるヤツを確保ってのが今回の仕事です」

小桜が蘭丸に仕事の説明を始める。

「少々やっかいなのは、副操縦席に店員を乗せたまま人質に取ってるってことですね」

複雑な作業を伴う場合を考慮し副座式のビルドアームも少なくない。
試乗会などでは販売員が同乗するのは当然とも言えた。

「ビルドアームのモデルは何か分かるか?」

蘭丸の問いに

「ええ。。。あれですね」

前方の十字路の左側から不意に現れた巨大な人型。

「バリバリのニューモデルですね」

この状況でふざけた笑いを含んだ小桜であった。



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