星乱拳客伝 外伝 −三つ目−
Nightclubbing
第3章
薄暗い部屋に一人の男が立っていた。
一方の壁が全面ガラス貼りになっており、男はマグカップを片手にガラスの向こうを見下ろしている。
天道であった。
「いい眺めですね」
他に誰もいない部屋で天道は返答を期待していないいつもの口調でつぶやく。
と、不意に何かを思い出したかのように近くのコンソールへ近付くと、ある画面を呼び出した。
「大丈夫っと」
録画中を表す赤い『REC』の文字を確認するとまた元の場所へ戻る。
「これを撮り損ねると藤十郎さんに何て言われるか」
不意に暗転した闘技場。
「この試合を一人きりで見るのも惜しいような気もしますが、それもまた一興」
天道の微笑を待っていたかのように闘技場にアナウンスが流れる。
「これより第1回フェイロン・トーナメント決勝を行います」
次章:第4章
『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
(c)General Works