星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

星乱拳客伝 外伝 トーナメント編 第9話

Nightclubbing



第2章

女は暗闇に包まれていた。
緊張なのか。
不安なのか。
女の心を落ち着かせる場所は、値段にゼロがいくつも並ぶ高級ベッドの上ではなく鉄とオイルの臭いのするビルドアームのコクピットであった。
『歩ヒョウ』
これまで対戦しなかったのが不思議であったその存在を女は扱いかねていた。
どのように闘い、どのように勝利するのか・・・
女は己に問い、迷った。
『歩ヒョウ』
意思の力で動かす『HT』で作られた人型の人形(Doll)。

「『歩ヒョウ』か・・・」

その言葉を口に出して女は苦笑した。

(なんだ、同じじゃないか)

くぃっと口の右端を持ち上げる。
闘士の笑みである。
そして、ふぅと大きく息を吐き硬いシートに体を預けると、そのまま眠りについた。
闘士よ、ヘブンズガーディアンと呼ばれる闘士よ・・・お前の見る夢は?

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『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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