星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

星乱拳客伝 外伝 トーナメント編 第9話

Nightclubbing



第1章

「という訳で、決勝戦に出ていただきたいのですが」

いつもの微笑を浮かべたまま、天道が説明する。
話はついているという言葉に、赤い髪と緑の髪の同じ顔をした双子のことが一瞬頭をよぎったが、もちろんその辺も抜かりはないのだろう。
しかし。。。

「今回のトーナメントで、ランメールはうちのジジイなんじゃねぇのか?」

この程度のことで困る筈もないが、言わずにはいられない。
ささやかな抵抗で勝ち得たのは、小さく肩をすくめさせることだけだった。

「そうなんですがね、藤十郎さんには他に用事ができたようで・・・」

(そういえば、どこかへ旅行にいくとか言ってたな・・・ハル爺さんに聞いてみるか)

「それに、本来ランメールは蘭丸さんな訳ですから、逆に間違いを正したという事にもなると思いませんか?」

その間違いを承知でマッチメークした男の台詞とは思えない。

「思わねぇな」

帰らせてもらうぜと続けて天道に背中を向けると、思わせぶりないつもの口調で、

「残念ですね、藤十郎さんでも勝てるかどうかの強敵だったのですが。。。」

後半が聞き取りにくいのは、もちろんわざとである。

「とりあえず、聞くだけ聞いておこうか」

自分の馬鹿さ加減にウンザリしながら蘭丸は踵を返した。

次章:第2章

『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
(c)General Works