星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

星乱拳客伝 外伝 トーナメント編 第7話

Perfect Day



第1章


ずしん

と歩くたびに、

びりり

と壁が震えた。

ずしん ずしん ずしん
 びりり びりり びりり

アリーナを照らす強烈な照明とは対照的に、通路は濃密な闇に満たされていた。
その闇の向こうから何者かがやってくる。
巨大な何か・・・

ずしん ずしん ずしん
 びりり びりり びりり

規則的に続いていた足音が不意に止まった。
そして・・・
濃密な闇の中から現れたのは・・・
巨体であった。
大きな鉄の塊が動く様は、それだけで人の心を揺さぶった。
圧倒的な質量であった。
そして圧倒的な威圧感であった。
他者の心から闘争心を根こそぎ奪い取るだけの厚味を備えている。
巨大な脚。
巨大な腰。
巨大な腕。
巨大な胴。
巨大な頭。
そして・・・

すばん

と巨大な盾をアリーナに突き立て、その裏側から2本の巨大な棒を取り出すと両端を繋ぎ合わせた。
長大な槍であった。
りゅん
と軽く槍をしごくと左手で盾を引き抜いた。

「フェイロンの暴君 ベリドット・タイクーン」

緑の巨人は闘技場の歓声に沈黙で答えた。
暴君は媚びず、ただ制圧するのみ。

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『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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