星乱拳客伝 外伝 −三つ目−
Perfect Day
序 章
男は闇の中にいた。
どるどるどるどる
背中から伝わる振動は相棒の鼓動であった。
どるどるどるどる
男の名は唐津宗助。
フェイロン闘技場の闘士である。
どるどるどるどる
鋼の相棒の名はベリドット・タイクーン。
通称「ベリ」。
彼等の行く先は、フェイロン闘技行のアリーナ。
トーナメントの準決勝であった。
どるどるどるどる
心地よい相棒の心音に身を委ねる唐津は、
自分が相棒の体内に溶け込んでいく姿をイメージした。
(へへっ)
不意に唐津は薄い笑みを浮かべた。
唐津はベリでありベリはまた唐津であった。
人馬一体という言葉があるが、彼等流に言うなら人機一体といったことろであろうか。
「ようっ そろそろ出番だぞ」
もう一人の仲間、メカニックのスコルピオが無線で呼びかける。
「おうさ」
自ら灯したコクピットの明かりに目を細めながら唐津は獰猛に笑った。
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『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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