星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

星乱拳客伝 外伝 トーナメント編 第7話

Pumpkin And Honey Bunny



第11章


降り注ぐ強烈な光の中に立つのは二体の巨人であった。

碧い三つ目の巨人は腕を組み、まさに仁王立ち。
黒い片腕の巨人は浅く腰を落とし、攻撃のタイミングを窺っているように見えた。
ギリギリと締め付けられるような精神戦。
『ビルドアーム』=『エスパーダ』の片腕を切り落とし圧倒的有利な藤十郎。
(それがどうした)
左腕を切り落とされて絶体絶命の蘭丸。
(それがどうした)
二人の凶暴な心が、凶暴な笑みを浮かべさせる。
猫科の肉食獣の笑み。
(いくぜぇ)
(おおょっ)
弾かれ引かれるように急接近した二体の巨人。
迷いの無い直線の動きであった。
跳ね上がった右足と右足。
ごっ
交錯する蹴りと蹴り。
みしっ
ぎしぃぃぃっ
蘭丸の蹴りは藤十郎の脇腹に・・・
藤十郎の蹴りは蘭丸の頭部に・・・
吹っ飛んだのは蘭丸のビルドアームであった。
ががしゃっ
っと転がった蘭丸のビルドアーム。
その上半身に影が落ちた。
ぎしゃっっ
振り下ろされた・・・いや、踏みつけたのは藤十郎の右足であった。
バチバチと火花を散らす頭部にめり込んだ足を引き抜き、
そのままサッカーボールを蹴るように振り抜く。
ぶちん
と千切れた頭部が闘技場の壁に乾いた音を立てて激突する。
静かに脚を戻すと、藤十郎は右拳を突き上げた。

「WINNER ランメール」

藤十郎、未だ健在であった。

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『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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