星乱拳客伝 外伝 −三つ目−
Pumpkin And Honey Bunny
第10章
(じじぃやりやがったな)
蘭丸は左腕を失ったことによるバランス調整を行いつつ距離を取った。
藤十郎は追わない。
(余裕だなじじぃ)
ふらつく足取りの蘭丸は、試合開始直前に切っておいた無線のスイッチを入れた。
「そっちからバランスの調整できねぇか?」
どこかにあるはずのマイクに向かって叫ぶ。
「あ・・・ちょっとコントロールもらうよ」
エリの赤い髪のイメージが蘭丸の脳裏をかすめた。
動じてはいない、彼女もまたプロフェッショナルなのである。
数秒・・・
「アクションフィードバックのパラメータいじってあるから気をつけて」
それだけ言うと、ぶつんと向こうから回線を切断した。
コントロールは既に戻っている。
「コマンド システムチェック」
音声認識システムが蘭丸の言葉を聞き取ると、
ディスプレイに赤や黄色の文字が点滅した。
機能停止に機能不全、油圧低下、電圧不足・・・
「残り30秒ってとこか」
片腕を失って尚、蘭丸の心は折れず。
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『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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