星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

星乱拳客伝 外伝 トーナメント編 第7話

Pumpkin And Honey Bunny



第7章


それは、一瞬の出来事であった。
切り落とされた左腕。
しかし、切り落とした得物は『歩ヒョウ』の手に無かった。

「あいかわらず楽しい趣向を用意してますね」

いつもの微笑のまま天道は静かに言うと、どこに連絡しているのか内線電話に何か呟いた。

「三つ目らしい『手』じゃありませんか」

自分のエントリーしているビルドアームの腕が落ちて尚、微笑むのは緑の髪の女エリであった。

「そうですね、そういう『手』が禁止されている訳ではありませんから・・・」

何が起こったのか理解できない闘技場がざわつき始めているところへ

「闘技は続行されます」

アナウンスが流れた。
何か起きたのか解らないかもしれないがエスパーダの腕を落とした技は有効である。
そういう主催者側の見解を含んだアナウンスであった。

「いいアナウンス判断ですね」

先ほど内線で天道が示したアナウンスを受けて、緑の髪の女が言う。

「ありがとうございます」

いつもの微笑の男が返す。
いま、ここで事の詳細をアナウンスする訳にはいかない。
それは技のネタをバラす行為であるからだ。
両者ともアリーナ内での出来事を理解したうえでの言葉であった。

「これからですね」

「これからですね」

それぞれの思惑を含んで、それぞれ同じ言葉を口にした両者。
両者の微笑もまた同じ様に見えた。

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『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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