星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

星乱拳客伝 外伝 トーナメント編 第7話

Pumpkin And Honey Bunny



第6章


再びアリーナの中央で対峙した二体の巨人。

『藤十郎』=『歩ヒョウ』=『ランメール』

『蘭丸』=『エスパーダ』

いままでの攻防で両者共ほとんどダメージはなかった。
じりじりを距離を詰めながらも、一定の距離を置いて様子を伺っている。
間合いという奴である。
お互いの手の内は良く解っていた。
両者の関係が、祖父と孫であり、師と弟子であるためである。
そこから先に踏み込めば、相手がどのような攻撃に移るのか。
それが見える。
だから踏み込まない。
いや、この緊張感を楽しんでいるようにも思える。

(かかってこいよっ)

蘭丸は胸のライトを煌かせる。

(年寄りに命令してんじゃねぇ小僧がぁ)

藤十郎が返す。
互いの間合いぎりぎりのところでタイミングを伺う両者。
と、不意に奇妙なざわめきが起こった。
観客席中段の客が転げ落ち、5、6人が巻き添えを食ったようである。
藤十郎の左前方。
蘭丸の右後方。
一瞬先に気付いたのは藤十郎であり、それに遅れたのは蘭丸であった。
一瞬。
先に踏み込んだのは藤十郎。
右の前蹴りが跳ね上がったのは、その瞬間であった。
頭部・・・いや、首を狙った真っ直ぐな蹴り。
蘭丸は上体を右に沈み込ませつつこれをかわした。

ごっ

と『ビルドアーム』=『エスパーダ』の眼前を『歩ヒョウ』=『ランメール』の右足が走り抜けた。

(次はこっちの・・・)

攻撃に移ろうとした蘭丸であったが、奇妙な違和感に咄嗟に身を引いた。

ぎゅん

蘭丸が左腕に感じたのは軽い衝撃であった。

(ちっ)

そのまま距離を取るべく大きくステップバックする蘭丸。
しかし・・・
左腕は違う方向へ移動した。
下方へ・・・

がしゃん

『ビルドアーム』と『歩ヒョウ』
両者の間には切り落とされた左腕が転がっていた。

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『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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