星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

星乱拳客伝 外伝 トーナメント編 第7話

Pumpkin And Honey Bunny



第3章


歓声であった。
アリーナで行われている名勝負に対してであった。

『歩ヒョウ』=『ランメール』の前蹴りが『ビルドアーム』=『エスパーダ』の腹部にヒットしたのである。
後ろにすっ飛ぶ『エスパーダ』を追って、勢いもそのままに『ランメール』の膝が跳ね上がる。

がしゃん
がしゃん

派手な音が2度『エスパーダ』の腹部で弾ける。
だが、3度目は無かった。
2度目の膝を抱え込んだ『エスパーダ』はそのまま回転しながら倒れこんだのである。
ドラゴンスクリュー
攻撃側の蹴りを取り、膝の関節を破壊するプロレスで言うところのその技に近いものであった。
もつれるように倒れこむ両者。
それはダメージを最小限にとどめる選択であり、倒れた後のポジション取りの為の動きでもあった。
蔓技(かずらわざ)
藤十郎の流派でいうところの関節技の総称である。
その体系において位置取り(ポジショニング)と呼吸(タイミング)は重要な位置を示している。
人とは異なる関節を持つ相手と闘うことを想定した体系であるため、一つ一つの技には決まった形は無い。
その為、技の名前になっているのは極め方である。
曲がらない方へ曲げる。
曲がる方への限界を超えて曲げる。
回転しない方へ回転させる。
回転する方への限界を超えて回転させる。
更には、そこへ至るまでの入り方・・・
バリエーションは無限であり、その場で生まれてゆくものである。
よく関節技に力は不要だというモノがいるが、それは間違いである。
そこへ持っていくまでには、やはり力は必要不可欠であり、力によって技が効かない場合すらある。
藤十郎も蘭丸も、僅かな打ち合いでパワーの差は感じていた。
パワーでは『ビルドアーム』=『エスパーダ』に分がある。
それを解ったうえでのグランドポジションの取り合いである。
そして・・・
アリーナ上で足を極めていたのは『ビルドアーム』=『エスパーダ』であった。

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『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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