星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

星乱拳客伝 外伝 トーナメント編 第7話

Pumpkin And Honey Bunny



第2章


二体の巨人が闘っている。
二者の関係は、祖父と孫であり、師と弟子であり、『歩ヒョウ』と『ビルドアーム』であった。
闘いは互角に展開しているように見えた。
どちらかが、どちらかに合わせているようにも見えない高次元の闘い。
少なくとも観客のほとんどがそう見ていた。
名勝負である。
しかし・・・

(たまらねぇな ジジィ)

攻撃と攻撃の間に生ずる僅かな隙、その隙をわざと演出している藤十郎の動きに蘭丸の笑みが深くなる。
踏み込んで一発ぶち込みたい欲求を抑えつつ、蘭丸も同じようなトラップを仕掛けてゆく。
一般の観客では解らないレヴェルでの攻防であり、この二人ならではの攻防であった。
難解なパズルのような闘いである。
一瞬たりとも気は抜けない(気を抜いたフリはするが)。

と不意に、蘭丸の右目に一滴の汗が入り込んだ。

(つっ)

一瞬の事であった。
するすると伸びてきた『歩ヒョウ』=『レン』の蹴りが『ビルドアーム』=『エスパーダ』の腹部を貫く。

ぎしゃ
ぎしぃぃ

フレームが軋む音を聞きながら蘭丸は藤十郎の次の攻撃に備えた。
そういう祖父であり、そういう孫であった。

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『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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