星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

星乱拳客伝 外伝 トーナメント編 第7話

Pumpkin And Honey Bunny



第1章


気付いたときには動いていた。
それは生物としての本能的な動きであった。
呼吸や、心拍運動のような根源的なものだ。
藤十郎と対していると、蘭丸の奥底に眠る根源的なものが不意に動き出すのである。
試合開始直後の数合の打ち合い。
これが、その本能的な動きであった。
一旦、距離を置いて対峙する2体に観客からの歓声が降り注ぐ。

(目ぇ覚ましたかい)

『歩ヒョウ』が一瞬、煌いた。
光信と呼ばれる通信手段である。
不意に『歩ヒョウ』が笑ったような気がした蘭丸は、

(うるせぇ、ジジイ)

と胸のライトを小さく明滅させて返信した。

へへん

と蘭丸はビルドアーム=エスパーダを疾らせた。

へへん

と藤十郎は『歩ヒョウ』=『レン』=『ランメール』を疾らせる。

吸い寄せられるように二体の巨人。
放たれた拳と拳。
二人にとっての試合開始の合図であった。

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『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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