星乱拳客伝 外伝 −三つ目−
Everybody Need Someone
第2章
ファミレスに老人と男がいた。
お爺ちゃんが孫と一緒に食事をしているようにも見えなくもない。
「へぇ・・・そういう趣向かい」
座席の上に胡坐(あぐら)をかいた老人の手にはA4のコピー用紙があった。
「ランメール vs エスパーダ」
「ベリドット・タイクーン vs ヘヴンズ・ガーディアン」
フェイロン・トーナメント準決勝の対戦カードが『厳正な』抽選によって選ばれた記事の原稿であった。
「はい、そういう趣向です・・・決勝より準決勝の方が伸び伸びやっていただけるかと思いましてね」
老人の名は榊藤十郎、『歩ヒョウ』=『レン』=『ランメール』を操る『ヒョウ師』であった。
男の名は天道歩、フェイロン闘技場のオーナーであり、藤十郎のマッチメーカーであった。
「気ぃ使わせちまって 悪りぃな」
そう言って運ばれてきたフルーツパフェから突き出た薄っぺらいメロンを摘んだ。
「いいんじゃねぇか?」
同意を示した老人の笑顔、その笑顔に天道は蘭丸の言葉を思い出していた。
(この爺ぃと関わるとロクなことがねぇぞ・・・)
「ご満足いただけたようで・・・なによりです」
天道はいつもの微笑のままそう言った。
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『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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