星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

星乱拳客伝 外伝 トーナメント編 第6話

Everybody Need Someone



第1章


「ランメール vs エスパーダ」

その対戦カードを知らされたとき、蘭丸は恐怖よりむしろ歓喜した。
1回戦を勝ち上ったのは、
・ランメール
・ベリドット・タイクーン
・ヘヴンズ・ガーディアン
・エスパーダ
であった。
試合の前から負ける事など考えもしないが、どこかで『当たる』なら早いうちに闘っておきたい相手であった。
祖父であり、師でもある藤十郎。
未だに底知れぬモノを秘めた老人であった。
勝てないとは思わない、だが、勝つイメージも浮かんでこない。
相手のことをよく知っているからこそであろうか・・・
思えば、蘭丸にとっての同門とは、藤十郎のみであり、他の対戦相手とはすべてぶっつけ本番であった。
物思いに耽る蘭丸の眼前に割って入ったのは、赤い髪の女であった。

「ねぇ聞いてるの?」

怒りで生き物が殺せるなら、小さな昆虫くらいなら殺せそうな勢いである。

「?」

『あ』と『え』の中間くらいの声が蘭丸の口から漏れると、
赤い髪の女の怒りのレヴェルは跳ね上がった。
子犬程度なら軽く気絶するだろう。

「あんたの話は、聞く価値がないってサ」

赤い髪の女と同じ顔をした緑の髪の女が軽く煽ると、赤い髪の女の怒りは静かに爆発した。
ぎろりっ
と睨む目つきは街のチンピラもすくみ上がるほどである。

「あっわりぃ・・・で、なんだっけ」

暴風雨の只中でさえ、こんな調子であろう蘭丸には、
赤い髪の女=エリの怒風など、微風程度のものであった。

「だーかーらー・・・」

見かけ以上に生真面目なエリとそれを面白がっている緑の髪の女=リエとのミーティングは続いた。

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『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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