星乱拳客伝 外伝 −三つ目−
Bomb Track
終 章
男は眼下の光景を見下ろしていた。
「まずは順当という感じですかね?」
誰にも答えを求めてはいない口調であり、事実、この部屋には男一人であった。
男はテーブルに仕込まれた端末から何かを入力すると、プロジェクターによるものであろうか、壁に画像が映し出された。
「うむ」
手にしたカップを机に置くと腕を組み壁の画像に向き直る。
「次はどういう組み合わせにしましょうかね」
トーナメント図であった。
8つから4つ。
4つから2つ。
そして・・・2つから1つ。
一回戦が終わった状態のその図は、フェイロン・トーナメントを表していた。
男の名は天道歩(てんどうあゆむ)フェイロン闘技場のオーナーであった。
「そうですね・・・」
何かを思いついたのであろうか、薄く浮かんでいた微笑が、少し深くなったように見えた。
それは、眼下の闘技場から差し込むスポットライトの反射光の悪戯であったのか、柔らかな笑みであった。
天使の笑み?
或いは、美しき悪魔の笑み?
完
『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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