星乱拳客伝 外伝 −三つ目−
Bomb Track
第14章
破壊された左腕をだらりとぶら下げたまま、右脇にブラッディ・オタスの巨大な尻尾を抱えた蘭丸=エスパーダ。
「アンタもオイラも腕一本・・・これでアイコだぜ」
そのスピーカーからの音声である。
「ぬんっ」
マイクのスイッチを切った蘭丸はエスパーダの両足を踏ん張り、上体を反らせた。
ぎりり
と、鋼の関節に負荷がかかる。
ミシミシ
とオタスの尻尾が軋(きし)む。
「せゃっっ」
更に低く腰を落とし、上体を左へ捻(ひね)る。
と、グラリと赤と黒の斑が動いた。
みしみしぃぃぃぃぃっ
ブラッディ・オタスが巨大な尻尾に引き摺られる。
その尻尾の先には蘭丸=エスパーダの姿が・・・
ぎぎぎいぃぃぃ
自らの意思ではない動きを止めるべくオタスの残りの脚がアリーナを引っ掻く。
しかし、見た目以上に高出力なのであろうエスパーダが更に半回転すると回転は加速した。
ぶぅん
これは・・・
プロレス技で言うところのジャイアント・スイングであった。
次章:第15章
『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
(c)General Works