星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

星乱拳客伝 外伝 トーナメント編 第5話

Bomb Track



第12章


真剣白羽取り。
打ち下ろされる白刃を両掌で挟み止める技である。
この場合は、何と表現するべきだろうか、両手で挟み掴んでいるのは槍状の腕であった。

おおぉぉぉ

二体のビルドアームの攻防に会場がどよめく。
激しい闘いでの一瞬の静止であった。

(次いってみようか)

蘭丸の思いを察した訳ではないのだろうが、その瞬間オタスが動いた。

ギュルッッ

槍(スピア)状の腕が回転するのと同時に更に踏み込んだのである。

「ぬんっ」

咄嗟に身を伏せた蘭丸であったが、

ガガっっ

オタスの左腕はエスパーダの左肩にめり込んでいた。

「ちっ」

蘭丸の舌打ちは、オタスの「毒霧」によって滑りやすくなっている両手に向けられていた。
これでは得意の関節技も極めにくくなってしまう。
対するオタスは、

「なぁぁぁぁ」

スピーカーを通して叫び声を上げつつ蘭丸=エスパーダを刺し貫いた左腕を振り回した。

ガシゅっ

オタスの左腕を離れた蘭丸=エスパーダは上空に舞っていた。
右足を上に向けた不自然な格好は己が意思による空中姿勢ではないことを物語っている。

「いくぞおぉぉぉ」

間の抜けた掛け声と共に回転を始めた斑(まだら)毒サソリ=ブラッディ・オタス。

「そーれっ」

落下する蘭丸=エスパーダに向けて振るわれたのは、その巨大な尻尾であった。

ガジャっっっっ

頭部を下に落下する蘭丸=エスパーダを迎えたのはブラッディ・オタスの尻尾であった。

「なあぁぁぁぁぁぁぁっっっ」

こだまするオタスの雄叫びは勝利の絶叫であった。

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『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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