星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

星乱拳客伝 外伝 トーナメント編 第5話

Bomb Track



第11章


オタスの毒霧。
それは、マシンオイルを霧状に噴霧したものであった。
反則すれすれ。
いや、解釈のしかたによっては反則ともとれる。
しかし、それは今考えることではない。
ここでは観客が喜ぶエンターテインメントであることのほうが重要なのである。
蘭丸は知っていた。
たとえどのような過程を経ようとも最終的に立っていたほうが真の勝者であるということを。

(へへっ)

エスパーダの状態を素早くチェックし、カメラレンズの洗浄とフォーカスの調整、各部関節の簡易再設定を実行させた。
この間、数秒。
それは目前に迫ったブラッディ・オタスの残った左腕が振りかぶられるまでの時間でもあった。

ばしっ

蘭丸=エスパーダを壁に繋ぎ止めるべく打ち込まれたオタス左腕。
その左腕を寸でのところで掴みとめた、蘭丸の技量恐るべし。

(次いってみようか)

蘭丸はエスパーダのコクピットで笑っていた。

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『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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