星乱拳客伝 外伝 −三つ目−
Bomb Track
第9章
(・・・来るっ)
何がどう解るというものではない。
感覚的なものである。
虫の知らせとも言うべき微妙な感覚のゆらぎ。
その動物的ともいえる直感に近い感覚を信じる事によって様々な危険を回避し、勝利を得てきた蘭丸。
首の後ろの産毛がむず痒くなるような感覚。
考える前に体が反応していた。
ふわり
と舞い上がったその足下を巨大な何かが薙いだ。
くるりと一回転してアリーナに舞い降りる蘭丸=エスパーダ。
その後ろから空中で足下をすり抜けた巨大なモノが襲い掛かる。
一歩。
踏み出したその後。
がじゃん
地面を叩いたのはブラッディ・オタスの巨大な尻尾であった。
オタスが跳ね上がった尻尾を引き戻すのと、蘭丸がゆっくりと振り返ったのは、ほぼ同時であった。
蘭丸=エスパーダは左前。少し腰を落とした構える。
オタスは、前傾した姿勢で巨大な尻尾を緩く左右に振っている。
(へへっ)
蘭丸の笑みに同調するように、
「なぁぁぁぁっ」
ブラッディ・オタスの叫びが響いた。
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『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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