星乱拳客伝 外伝 −三つ目−
Bomb Track
第8章
打撃vs打撃
体格差で圧倒的に有利であるブラッディ・オタスが序々に蘭丸=エスパーダを押し込んでゆく。
しかし、蘭丸もそれを見越した上で外壁に追い詰められないように立ち回っている。
真っ向勝負であった。
(いいねぇ、この機体・・・使える)
傍から見ればオタスが押しているように見えたが、解っているものが見れば蘭丸の動きの方に余裕があるように見える。
いわゆる攻めさせているという状態である。
(いいんだぜ、本気だしてもよぉ)
右腕の攻撃を軽くステップバックしてかわすと電光の速さで、その腕を取った。
ぎしぃぃぃ
ブラッディ・オタスの鋼の関節が悲鳴を上げる。
組み付いた蘭丸=エスパーダを左腕が打とうとするのを更に回り込みつつ右腕をひねり上げる。
関節技である蔓(かずら)技の一つであった。
ばぎぎぎぎぃぃぃぃっ
いくつかの部品が弾け飛び、何本かのチューブが引き千切れ赤黒いオイルが点々とアリーナに奇怪な文様を描く。
更に蘭丸は己が愛機を暴れる毒蜘蛛の胴体の上に乗せ左右の連打を叩き込んだ。
拳、拳、拳。
拳、拳。
拳、拳、拳、拳、拳・・・・
会場は盛り上がっていった。
拳、拳、拳、拳、拳、拳。
更なる、盛り上がり。
しかし、それは蘭丸=エスパーダの攻撃によるものではなく、その背後から忍び寄る巨大な何かに向けられたものであった。
オタスの七つ道具の一つ「スコルピオ・ハンマー」に。
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『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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