星乱拳客伝 外伝 −三つ目−
Bomb Track
第6章
毒々しいまだら模様の巨大な蜘蛛が体を震わせている。
「うるへうるへぇ」
スピーカーからの音声はどこか間の抜けた印象を与えたが、歪んだ怒りを伝えるには十分であった。
「いくぞぉ」
六本の脚を器用に動かしながら蘭丸=エスパーダに襲い掛かる。
速い。
前回の試合の時より2〜30パーセントはスピードアップしているようである。
(へっ)
笑みを深くした蘭丸=エスパーダは左手を前に幾分オープンスタンス気味に構えた。
ばんっっ
と射出されるような突きは前回の対戦で経験済みであったが、嵐のようなラッシュは前回のそれを上回るものがあった。
しかし・・・
だっだっん
どどっ
ぎしぃぃっ
それらの攻撃を受け、かわす蘭丸の技術もまたレヴェルアップしている。
(やるねぇ)
奥歯を食いしばりながらつぶやく蘭丸。
その言葉とは裏腹に彼の口元に浮かぶ笑みは更に深くなっていた。
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『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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