星乱拳客伝 外伝 −三つ目−
Bomb Track
第5章
だんだん
蘭丸は2歩で全力疾走へ移っていた。
そして3歩目。
ダンっ
突き刺すような強烈な右の前蹴りであった。
相手の様子を伺うこともない、挨拶代わりににしては強烈すぎる一撃。
それを腕(前足というべきか)を交差させて受けるオタスもまた只者ではない。
ぎしぃぃっ
急激な負荷にフレームが軋む。
へへっ
前蹴りを放った右足を引きつつ、軸足である左足を半歩進め、更に右の前蹴りが跳ね上がる。
オタスの十字に交差させた腕がこれを受ける・・・
いや、右足が腕に触れるその瞬間、蘭丸はその右足を下ろし右肩からオタスの懐に飛び込みつつ上体を捻った。
一瞬の出来事である。
次の瞬間。
エスパーダの体が沈んだ、そして・・・
ふわり、とオタスの巨体が浮いた。
背負い投げである。
交差しているオタスの腕を右腕で下から束ねるようにして、投げたのである。
だだぁん
恐るべきパワー。
スピード。
そして、それを使いこなす蘭丸の技術と戦闘センスこそ恐るべし。
ひっくり返った毒蜘蛛を冷ややかに見下ろしつつ、腕組みしている蘭丸=エスパーダ。
やがて、器用に起き上がるオタスに向かって蘭丸は手招きしつつスピーカーのスイッチを入れた。
「文句があるなら、かかってこいよ」
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『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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