星乱拳客伝 外伝 −三つ目−
Bomb Track
第4章
眼前の不吉な対戦相手に奇妙な懐かしさを覚えていた。
1戦目。
蘭丸の初戦の相手が目の前のブラッディー・オタスであった。
日付にしてみれば、昔ともいえないような過去ではあったが、ひどく昔の出来事のように思えた。
(へへっランメールか・・・間の抜けた名前だ)
肝臓の悪そうなマッチメーカーのオヤジ顔を思い出しながら苦笑する。
しかし、今回はエスパーダとしてのエントリーであり、操る機体もビルドアームである。
機体の大きさ、重さ、素早さ、パワー。
全てが違う。
更に言うなら、ブラッディー・オタスもまた同じではありえまい。
毒々しい赤と黒のペイントで覆われた機体は、前回とは違った凹凸があるように思えた。
(まぁ、いいや)
肩をまわし、首をゴキリと言わせてから顔を叩き、気合を入る蘭丸。
地面を掴むように両足の親指から小指へと順番に力を入れてゆく。
(やってみりゃ、わかるだろ)
「Ready GO」
スピーカーから響く言葉の余韻が収まらぬうちに、蘭丸は全力疾走に移っていた。
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『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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