星乱拳客伝 外伝 −三つ目−
Bomb Track
第1章
暗闇であった。
前回とはまた違った控え室であったが、パーティションで区切られたいくつかのブースと、オイルと鉄の焼けた臭いは変わりなかった。
備え付けられている案内板とスピーカーからの音声に促されて案内表示を兼ねた照明の灯った通路を進む。
右へ、左へ、また右へ。
そして・・・「しばらくおまちください」のアナウンスと同時に暗転。
どれくらい待っているのだろうか。
30秒ほどのような気もするし、10分以上待っているようにも思える。
「聞こえる?」
コックピットのどこかに仕込まれているのであろうスピーカーから女の声が聞こえた。
マッチメーカーのエリである。
「ああ」
蘭丸はそう言いながらスピーカーを探すべく極端にシンプルなコックピットを見回した。
「スピーカー探しても見つからないよ」
スピーカーの他にもカメラが仕込んであるらしい。
小さく肩をすくめると蘭丸は天井を見上げた。
「対戦相手だけど・・・」
エリの言葉に、
「知ってるよ」
そっけなく返す蘭丸。
赤と黒の斑模様。
対戦相手はアイツだ。
と、その時、不意に前方が明るくなった。
通路の脇に仕込まれた行き先を示す照明が灯ったのである。
「ちょっくらいってくるぜ」
ゆっくり歩を進めるその先に待つものは・・・
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『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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