星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

星乱拳客伝 外伝 トーナメント編 第4話

Knockin'on Heaven's Door



第2章


激しく重い旋律であった。
デスメタル。
そう呼ばれていた音楽である。

だん
だん
だん
だん

会場の一部のファンから広がった足踏みが全体に広がって行き、異様な雰囲気を醸し出していた。
重く熱い空気の中に更に熱い物体が現れる。
巨体であった。
通常のビルドアームの倍近い巨躯である。
それは、もはやビルドアームではなく破壊するために存在する兵器バトルアームに近く思われた。

「TEAM爆烈。烈風参上」

大音声とともに交錯するスポットライトに浮かび上がる威容。
巨大なキャタピラ。
無骨な鉄の塊が如く拳。
それを支える腕と肩もまた太い。
パワーの権化であった。
ひとしきり盛り上がり暗転のあと、音楽が切り替わった。
先ほどと近い種類の音楽ではあった。
しかし、早い。
前者が力であるとするなら、これはスピードであった。

「木星帰りの傭兵 ヘヴンズ・ガーディアン」

颯爽と現れたのは、どこにでもありそうな普通のビルドアームであった。
しかし、会場をどよめきのような波紋が覆ってゆく。
「ヘヴンズ・ガーディアン」
その名は、数年前突如現れ、忽然と消えた。
噂では、他者を寄せ付けない闘いにマッチメーカーが対戦者を見つけられないとか、
某企業に引き抜かれ研究所に隔離されているだとか、
機械の亡霊説すら聞こえる始末である。
それが、いまフェイロンのアリーナに姿を現した。

「Ready GO!」

本者か偽者か・・・それは・・・

「やってみりゃわかるさ」

観客席の人ごみに紛れた榊藤十郎が嬉しそうに呟いた。

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『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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