星乱拳客伝 外伝 −三つ目−
Knockin'on Heaven's Door
序 章
「ハヤクしないと遅れるだろ」
ばたばたと部屋を走り回るのは短髪の少年であった。
「PM6:00と16:00を間違えたのはオメェだろう」
部屋の隅で工具箱をがちゃがちゃやっているのは茶髪の少年であった。
細けぇこと言ってんじゃねぇよと、工具箱をあさっている少年へ服が投げつけられた。
「さっさと着替えろよ・・・まったく女って奴は・・・」
よく見れば、少年ではなく少々がっちりしているが確かに女性であった。
「うるせぇな、オメェだって女だろう」
ターシャとミーシャ。
泣く子も黙るチーム爆裂のパイロットであった。
そして・・・
「今日はフェイロントーナメントの1回戦なんだぜ」
第3試合の時間は刻々と迫っていた。
一方・・・
港近くの高級ホテルのスイートで足首まで埋まりそうな絨毯に寝転びながら朝食のシリアルをバリバリ食べている女がいた。
肩や背中についたしなやかな筋肉とその表面にうっすらと後が残る細かい傷が肌の張り以上の年輪を感じさせる。
全裸であった。
しかし、それはサバンナの肉食獣が衣類を纏わないのと同じ意味である。
「そろそろ・・・か」
壁の時計に目をやると、クローゼットに向かう。
それは、服ではなく防具を身につけるための動作であった。
レベッカ・レイボーン。
彼女もまたフェイロンの闘士。
フェイロントーナメント1回戦、第3試合にエントリーされていた。
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『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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