星乱拳客伝 外伝 −三つ目−
Angel
第12章
ぬん
(間に合わない・・・)
眼前に迫る白いビルドアーム。
そして、その長剣。
己が得物である槍はそれを捌く位置になかった。
むん
ぴぴぴっ
ビィィィィィ
新たな動作は新たな電子の和音を呼んだ。
そして・・・
交錯する二台のビルドアーム
どんっ
そこに立っていたのは緑のビルドアームであった。
低い姿勢で突き出した右腕。
その拳はぐちゃぐちゃに潰れている。
「臨機応変が俺のモットーってやつだ。わりぃな。」
長槍の距離ではないと判断した唐津は得物を捨て、更に踏み込んで右拳を叩き込んだのである。
倒れた白いビルドアームを視野にいれつつ、まだ使える左手でゆっくりと槍を拾い上げる。
5秒・・・
10秒・・・
動かない白いビルドアームを確認したのであろう、闘技場にアナウンスが響く。
「WINNER ベリドット・タイクーン」
唐津宗助は緑のビルドアームの潰れた右腕を誇らしげに突き上げた。
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『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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