星乱拳客伝 外伝 −三つ目−
Angel
第5章
ばん
その音が先であったか、それとも緑のビルドアームが膨れ上がったのが先か。
緑のビルドアームは重鈍な装甲板を自ら弾き飛ばし・・・
その下から長槍が唸った。
だんっ
緑のビルドアームの踏み込みがアリーナを振るわせる。
一方、空中の白いビルドアームも唸る長槍に貫かれるのをただ待っているわけではない。
咄嗟の判断ではあったが、身を捻りつつ、迫る長槍に腕を降り下ろした。
がつん
間一髪、長槍は白いビルドアームの右脇腹をかすめた。
だだん
無様な格好で地に落ちた白いビルドアームに黄色い悲鳴が降り注ぐ。
「油断大敵ってやつだな」
B・H・ヴァレンタインはコクピットの中で小さくつぶやくと、
白いビルドアームを立ち上がらせた。
一方、唐津宗助も重い装甲を外した後の調整を確認しつつ槍をしごいた。
「まだ終わっちゃねぇよな」
へへんと唇の右端をくいっともちあげつつ唐津は走った。
次章:第6章
『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
(c)General Works