星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

星乱拳客伝 外伝 トーナメント編 第3話

Angel



第4章


天使と魔獣
ヨーロッパの苔生した古城に掛かった巨大な絵のような闘いであった。
白いビルドアームは素早く華麗であり、
緑のビルドアームは力強く横暴であった。
善と悪。
分かりやすい構図であり、実際の闘いもそれに倣ったものであった。
縦横に振るわれる緑のビルドアームの長槍を華麗に避ける白いビルドアーム。
その観客を充分意識した闘いぶりは、次第に闘技場全体を魅了し始めていた。
長槍の豪快な横殴りをセンチ単位で見切った白いビルドアームに観衆がどよめく。
細身の長剣を掲げそれに応える白いビルドアーム。
一見、無防備に見えるその姿の足下を緑のビルドアームの長槍が薙いだ。

がぎぃぃぃ

長槍の鋭い先端が地面をこすり火花を上げる。

おぉぉぉ

闘技場が一つの生き物になったかのような反応であった。
上空高く舞い上がった白いビルドアーム。
それを見上げる緑のビルドアーム。
テレビアニメなら間違いなく白いビルドアームの必殺技のタイミングである。
実際、B・H・ヴァレンタインはこの闘いに終止符を打つつもりであった。
今までの闘いで掴んだ感覚では、緑のビルドアームはヴァレンタインの攻撃を避ける態勢にない。

(おしまいだ)

B・H・ヴァレンタインが思った瞬間、
緑のビルドアームのコクピットで唐津宗助はあるスイッチを押した。


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『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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