星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

星乱拳客伝 外伝 トーナメント編 第3話

Angel



第2章


ごっ

と風が唸る。
巨大な長槍が空間を薙ぎ払ったのである。

ぎゅん

と風が吼える。
巨大な長槍。その先端の刃が空間を切り裂いたのである。

繰り返し打ち込まれる、どの一撃をとっても白いビルドアームを粉砕せずにはおかない破壊力を秘めた一撃であった。
だが・・・
風に舞う羽毛を捉えられぬように、緑のビルドアームが繰り出す攻撃もまた白いビルドアームを捉えることができなかった。
B・H・ヴァレンタインは白いビルドアームのコクピットで薄く笑った。

「なかなかの動きだが、俺に当てることはできんよ」

美麗な顔に浮かぶ笑みは酷薄であった。
レバーやスイッチ類が極端に少ない・・・というか、ほとんど見当たらない・・・コクピットは蘭丸のビルドアームと同じSRSシステムを搭載しているからである。
いや、蘭丸のビルドアームのものより更に洗練されているようにさえ思える。
縦横に打ち振られる長槍を滑るように避けてゆくさまは、あらかじめ打ち合わせでもしているかのようにさえ見えた。

「アルファの技術力もたいしたものだが、所詮・・・」

緑のビルドアームはアルファシステムという企業のテスト機である。
それを知るヴァレンタインの白いビルドアームもまた別の企業のテスト機に他ならない。
実際、このフェイロンで闘うビルドアームの少なくない数が様々な企業のテスト機なのである。

ぶつん

白いビルドアームの細身の長剣が一閃すると、緑のビルドアームの右肘のパイプからオイルが飛び散った。

「パワーでは、勝てんがな・・・」

ぶつん

今度は、左膝である。

ぶつん・ぶつん

白いビルドアームの攻撃は緑のビルドアームの装甲の継ぎ目である間接部を正確に捉えていった。

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『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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