星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

星乱拳客伝 外伝 トーナメント編 第3話

Angel



序 章


「只今より、第1回フェイロントーナメント第1回戦第2試合を行います」

アナウンスと同時に闘技場の照明が落ちる。

「悪鬼、野獣の跋扈するこのフェイロンに白金(しろがね)の天使が降臨する・・・」

ワーグナーのワルキューレの騎行をBGMに率いつつ暗闇の中から現れたのは、
純白のマントを纏ったビルドアームであった。

「12戦8勝4敗」
「鋼鉄の天使・・・SteelAngel(スティール・エンジェル)」

優美ともいえる仕草でマントを脱ぎ捨て、高々と細身の剣を突き上げる白いビルドアーム。
その背中にはスティールエンジェルの名にふさわしく小さな翼を模したパーツが見えた。
湧き上がる会場からの歓声の中に若い女性のものと思しき黄色い声が多いのが印象的である。

「対するは・・・」

再び暗転する闘技場。

「フェイロンのアリーナに野獣の咆哮が轟く・・・」

巨大な肉食獣の咆哮に強烈なドラムとベース音が重なってゆく。

「20戦14勝6負」
「野生の魂・・・ベリドット・タイクーン」

緑をベースにしたカラーリングの大型ビルドアームは長大な槍を手に巨大な山のごとく、フェイロンのアリーナに現れた。
BGMのドラムビートに合わせてダンダンと足を踏み鳴らす観客。
それに答えるように手を上げる緑の巨人は王者の風格さえ漂っている。

白い優美なビルドアーム「スティールエンジェル」
緑の野獣の如きビルドアーム「ベリドットタイクーン」
最後まで立っているのは、天使か野獣か・・・

「Ready GO」

二体のビルドアームは己の得物を手に走った。

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『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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