星乱拳客伝 外伝 −三つ目−
MY FAVORITE MISTAKE
第10章
頭上の巨大な斧は不可避に思えた。
(ぬんっ)
両足を踏ん張り、自らの上半身を右に捻りながら両手で持った『ニンジャイ・ボー』の右側を跳ね上げる。
がきぃぃぃぃっ
藤十郎の『ニンジャイ・ボー』が梅草兄弟の『ニンジャイ・ブレーカー』を打ち、その軌道をずらした。
どっ
ガシゃん
巨大な斧は、藤十郎の『歩ヒョウ』=『レン』の左足の数十センチ先の床を切り裂きめり込んだ。
(そろそろ・・・)
藤十郎の『歩ヒョウ』は床にめり込んだ斧の柄に左足を乗せると、一気に距離を詰めた。
柄の上を・・・梅草兄弟のビルドアームに向かって・・・
(終わりだ)
柄に乗せた左足の次の一歩を踏んだ次の瞬間、
どしゃん
藤十郎の強烈な『ニンジャイ・ボー』の突きは梅草兄弟のビルドアームの首を突き破った。
ぎしぃぃ
次の一歩を踏み出しつつ、手に持った『ニンジャイ・ボー』を押し上げると梅草兄弟のビルドアームの首からは嫌な音が響く。
(ジゃっ)
次の一歩・・・いや、今度はビルドアームの頭部への強烈な右中段蹴りだった。
ばきぃぃぃぃ
完全に粉砕された首は頭部をつなぎ留めることが出来なかった。
オイルと細かな部品を撒き散らしながら光を失った頭部が宙を舞う。
更に、梅草兄弟のビルドアームの両肩の上に立った藤十郎の『歩ヒョウ』は両腕を高々と掲げた。
その手に握られていたのは、もちろん・・・
ぎしゃぁぁぁぁん
手にした『ニンジャイ・ボー』を千切られた首の断面から一気に突き入れたのである。
胴体を縦に貫通した『ニンジャイ・ボー』は両足の間から顔を覗かせた。
「勝負あり」
闘技場にアナウンスが響く。
「Winner!ランメール」
再び立ち上がった、藤十郎の『歩ヒョウ』は右手を高々と掲げた。
次章:終章
『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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