星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

星乱拳客伝 外伝 トーナメント編 第1話

LIVEN' ON THE EDGE OF THE NIGHT



終章


「どう、気にいった?」

再び、プレハブ小屋である。

「ああ。いい感じだな」
「面倒くさいのもきらいじゃないが、ああまで素直に反応するってのは今まで経験がないな」

蘭丸の素直な感想であった。
小さく動かせば小さく。
大きく動かせば大きく。
基本中の基本であったが、エリとリエの提供したビルドアームは精度が違っていた。
『あそびがない』
というエリのアドバイスはまさに的を得たものであった。

「あのシステムを使うのが本当に初めてなら、たいした腕前ね」

エリの言葉に、嘘じゃねぇってと返す蘭丸。

「このシステムはね、普通の人には扱えない代物だってことで開発途中で頓挫していたものなの」
「そのシステムの最終形態を搭載したビルドアームがあれ」

蘭丸はそんなものがどうしてここにあるのかリエに聞こうとしたが、
エリの言葉を思いだして、その言葉を飲み込んだ。

(いろいろある・・・か)

「そうそう。今度発売される新型にそっくりなのは、そのテスト機だから」
「まるで、自分のからだのように・・・っていうのは良いコンセプトなんだけどね」
「誰にでも簡単にっていう大前提がクリアできないんじゃしょうがない」

確かにそうだ。
一般ユーザーは多用化個性化を求めてはいるものの、極度に扱いにくいシステムを求めてはいない。
いずれは、このシステムも使いやすいように改良が施され、一般化するのであろうが、現時点ではお世辞にも扱いやすいとは言いがたいシステムである。

「それで、契約なんだけど」

いつのまにか机の上に置かれた一枚の紙には契約書の文字が書き記してある。

「こちらとしては、あなたをフェイロントーナメントにエントリーさせる条件として私たちの用意したビルドアーム『エスパーダ』を使用すること」
「それだけね・・・あとの金銭的条件等は天道さんところとの契約と基本的に同じ筈よ」

蘭丸は契約書に目を通しながら、

「で、どこにサインすればいい?」

そう言った。

『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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