星乱拳客伝 外伝 −三つ目−

星乱拳客伝 外伝 トーナメント編 第1話

LIVEN' ON THE EDGE OF THE NIGHT



第13章


「私たちはね、もともとアポデラードの家系なのよ」

赤い髪のエリがコクピットのハーネスを捌きながら蘭丸に語った。
エリの操っていた白と青のビルドアームのコクピットである。

「あぁ、アポデラードっていうのは・・・マッチメーカーみたいなもんね」
「スペインていう国、知ってる?」
「その国でね、人と牛が戦う闘牛っていうのがあるのね。フェイロンみたいでしょ」
「そこで試合を仕切っていたのがアポデラードっていう人達」

ビルドアームのコクピットを蘭丸用に調整しながら、自分達の事を説明するつもりらしい。

「ほら、そういう世界っていろいろゴタゴタしたことがあるでしょ?」
「そういう事も含めた仕事をしてたもんだから・・・ね?わかるでしょ、そういうことなんだ」

やたらと指示代名詞の多い話だったが、蘭丸にはなんとなく通じたらしい。

「ようするに、天童みたいな仕事してるってことだろ?」

蘭丸の発言に、作業中の手を止めて固まったエリ。
どうやら熟考すると固まるらしい。

「なんか違うような気がするけど・・・とりあえず、そんな感じだね」

自分なりに一応の決着をつけたのだろう、再び作業に戻った。

「でね・・・どこまで話したっけ・・・そう・・・」

ほとんど一人ごとに近い話であった。

「・・・っと、とりあえずセッティング終わったから続きはまた今度ね」

小型のハンディコンソールの数値を確認してからエリはコクピットを離れた。

(せわしない奴だな・・・)

コクピットでコードに繋がれた蘭丸は思った。

(しかし、どうやって動かすんだコイツ)

見慣れた操縦装置のみあたらないコクピット。
今度は蘭丸が固まる番であった。

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『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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