星乱拳客伝 外伝 −三つ目−
LIVEN' ON THE EDGE OF THE NIGHT
第10章
上段・中段・下段
偏りのない攻撃は蘭丸の実力を試すものか、それともエリのファイトスタイルなのか。
決定打こそなかったものの、攻撃の主導権はエリが握っていた。
(こいつ、強ぇぞ)
流れるようなエリの攻撃は蘭丸に攻撃のきっかけを与えなかった。
『歩ヒョウ』を纏っていないとはいえ蘭丸に攻撃させないというのは、そうとうの技量である。
逆を言うなら、使いなれていないビルドアームをここまで乗りこなしている蘭丸もまたタダモノではない。
「このへんにしておく?」
エリのやや大振りな中段蹴りを蘭丸が大きくステップバックしたところで、戦いは休止した。
「これじゃ、やられっぱなしってやつだぜ」
滝のように流れる汗を拭いもせず蘭丸は言った。
かなり消耗している筈だが、呼吸はそれほど乱れてはいない。
「たらたらやっててもしょうがないわ。30秒、それで十分でしょう」
すでに、お互いの技量はある程度把握している。
それを踏まえたうえでの30秒である。
「十分だ」
蘭丸の答えに、
「じゃ、そういうことで」
エリが返す。
次の瞬間、蘭丸のビルドアームが疾った。
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『文句(もんく)があるなら、かかってこいよっ』
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